得意科目が1科目な人でも塾講師を目指すべき理由。学生時代の蓄積だけでは無理な仕事です。

こんにちは、トカチです。

個別指導の教室長をやっていると、アルバイト講師さんからこんな相談を受けます。

実は僕、得意と言える科目が数学しかありません。他の科目も自信満々で教えて大丈夫ですか?
結論から言います。

全然問題ありません。

むしろその方が好都合の場合もあります。

理由を説明していきますね。




目次

塾講師も勉強をしなければなりません。

塾講師の仕事をするうえで最も大事なことがあります。それは

生徒が使っている教材で生徒と同じ勉強をやり直すこと。

つまり授業の予習ということになりますが、実はこれが非常に大事です。

主な理由は2つあります。

質問に対する返答の精度が高まる

生徒の質問に応えるときは、質問の意図を間違えてはいけません。

塾講師になりたての先生は、質問の意図を取り違えることが多いです。

例えば。

歴史の年号を効率的に覚える方法を教えてほしい
覚える方法についての質問ですね。

生徒が求めている答えは

「暗記カードを作る」とか「時代を区切って年表を何度も書く」といいよ
暗記の仕方の具体例を答えています。これからの勉強に役立つ情報です。

 

一方、意図を間違えてしまった先生は

なくよ(794)うぐいす平安京って覚えるといいよ!
直前に間違えた問題の覚え方を教えてしましました。もちろん平安京の年号は大事です。しかし生徒が知りたいのは794年ではなく「たくさんの年号を忘れない方法」でした。

 

小中学生は言葉選びが未熟です。質問の仕方も上手ではありません。

先生方は授業をする前に

  • 生徒は何を使ってどのように勉強しているか
  • どんな疑問を持つか
  • 何に困っているか

をシミュレーションしておくことが大切です。

カリキュラム変更を確認する必要がある

学習カリキュラムは、頻繁に修正・変更されます。

例えば。

かつて鎌倉幕府は1192年に設立され「いいくにつくろう鎌倉幕府」と覚えていました。しかし今は1185年設立に変更されています。理由はググってください(´ー`)

小さな変更はあちこちに存在しますので、事前のチェックは非常に大事です。

生徒に「リアルな学び方」を伝えるために、まずは自分が学びましょう

自分が小中学校のとき、勉強をどうやって頑張っていたか覚えていますか?

僕は覚えていません。

「友達と塾に通っていたなぁ~」とか「社会の先生怖かったなぁ~」などの勉強に関係ない記憶の方が多いです。

しかしテストで100点を取るためにどう頑張ったかは、ほとんど記憶に残っていません。

自慢ですが、中学時代は5科目500点満点のテストで450点以上を3年間キープしました。

中学で頭いい人に与えられる称号「メガネ君」は僕の物でした。

それぐらい頑張っていたのに、どう頑張っていたかは忘れてしまうものなんです。

勉強をやり直して復活した頑張り方の記憶

忘れてしまった物は思い出すしかありません。

そのために勉強をやり直しました。

問題を解いて、間違えたところは覚え直して、また解いて、覚え直して・・・

これを繰り返すうちに、勉強を頑張っていた頃の感覚が少しずつ戻ってきます。

ここまでやっておかないと、生徒を満足させる指導はできません。

「先生の若い頃」の話は生徒に響きにくい

生徒は問題の解き方だけではなく、勉強のやり方を聞いてくることも多いです。

塾講師をやっている先生方は、勉強を頑張ってきた人たちなので、それぞれ自分にあったやり方があったと思います。

学生当時にも友人から「どう頑張ってる?」なんて聞かれた人もいるのではないでしょうか。

当時は実際に勉強していますからリアルに伝えられた話かもしれません。

「俺の若い頃はな・・・」はやめましょう

あれから〇年。

記憶をたどって話してみるとわかります。

「意外と覚えてないな自分・・・」

 

そしてあやふやな記憶を話していると、それは生徒にも伝わるんですねぇ。

(この先生はほんとに勉強やってたのか・・・?)

子供は正直ですから、印象悪い先生の言うことは聞かなくなります。

今先生はこういう勉強をしていてね・・・は魅力満点!

塾講師アルバイトを検討している方は、概ね何かしら「勉強」をしていると思います。

大学・専門学校・資格試験などなど

中学生にはわからないであろう内容でも、「どう頑張っているか」は伝わります。

僕は学生時代、集団の意思決定について研究していたのですが、「多数決には決まりやすい質問の順番がある」という話はウケがよかったです。仕組みは全く理解してくれませんが、どういう研究をどうやってやるかについては興味あったようです。

理解不能でも面白そう!と思わせたら勝ちです。

生徒はあなたの虜になります。

生徒が驚いた「先生も勉強している」事実

僕は教室長時代、アルバイトの先生方にお願いしていたことがあります。それは

先生も今みんなと同じ勉強をしていることをアピールしてね
ということです。

「先生」という肩書は「何でも知っている」と思われる節があるので、学び続けないと先生でも忘れるんだよということを生徒に知ってもらう為です。

「1回やったからOKではない!何度も繰り返すことが大事なんだ!」

ということを身をもって示すことで、生徒への説得力が増すわけです。

勉強のテクニックを伝えまくれ!

頑張れ頑張れを繰り返しているだけではただの熱血先生になってしまうので、ここからは具体的なアドバイス方法をいくつか紹介したいと思います。

自分の体験談を積極的に活用しよう!

復習をしていると、苦手だった単元に触れることもあるでしょう。

もしかしたら今も苦手意識があるかもしれません。

しかし生徒に指導する手前、少しでも苦手意識を克服するべく、試行錯誤をするはずです。

その試行錯誤を生徒に教えてあげてください。

見慣れない聞きなれない言葉を覚えるのが苦手だったから、何度も読んだり書いたりしたよ。

回数を重ねると「見たことある言葉」に進化するんだ。

これは僕の克服法です。高校の世界史が死ぬほど嫌いだった僕は、とにかく読む・書くを繰り返しました。そのおかげか歴史のテレビ番組を見ていると、聞いたことある言葉が随所に登場します。興味は無いのに歴史上の人物をたくさん知ってるのは変な感じですが(笑) 努力の成果ということにしています。

ケアレスミスが多い生徒へのアドバイス

ケアレスミスの原因は「思い込み」です。

自分は間違っていないと思い込んでいるので、見直しをしても間違いに気づけないんです。

解決法はシンプルです。

解くスピードを上げて2回解く時間を確保し、正解率を上げるという手順です。

数学のテストを例にします。

問題を解き終えたら、途中計算を全部消してもう一度解きます。

1回目と2回目の答えが一致すればOKとすればいいんです。

解くスピードを鍛える必要があります。日ごろから早く解くことを意識させましょう。

1回目の正確性は落ちますが、2回目で間違いを回収できます。ケアレスミスが多い生徒は、「注意深く!」はあまり効果的な対策ではありません。

暗記術について

正しい暗記術は存在しません。

アマゾンで暗記術の本を検索すると100冊以上出てきます。

教育関連の偉い人たちが、方法論を取り合う熱いジャンルですから、全ての方法が正解と言えば正解です。

 

100冊の暗記術の本を読破せよということではありません。

暗記術は「実践済み」であれば問題ないと思います。

自分のやってきた暗記方法をそのまま伝えてあげましょう。

イマイチだったら他の方法も試してみてね、と付け加えると尚よしです。

ノート纏めに要注意

僕は学生時代、ノートまとめが大好きでした。

なんか勉強してる感があったからです。

しかし、まとめたノートを活用したことはありません。

この話は、アルバイト講師さんも保護者の方も生徒も

私もそうです(でした)・・・
という返事が返ってきます。

塾の授業でも生徒にノートまとめをさせる先生を多く見かけますが、あまりよろしくありません。

ノートのまとめ方まで指導しているのであればいいのですが、生徒にノートまとめの意図を伝えていない場合は無駄な時間です。

もしノートまとめをさせるなら

「後でこういう復習をしてほしいから、こういう風にノートにまとめてください。」まで指示を出さないとダメです。

ノート作りの方法は一度ガッチリ学んでおくといいですよ。社会人にも資料作りなどで必要な時が来ます。

生徒からの見方が劇的に変化する

先生も勉強をしていることを伝えると、生徒の聞く姿勢が変化します。

なぜなら。

同じ苦労を共有する仲間意識が芽生えるからです。

友達同士で宿題や勉強の感想を言い合うことってありましたよね。

「今日の宿題の問題、むずすぎね?!」

「あの問題解き方見てもわからんかった!」

「テスト範囲広すぎ!」などなど

同じ境遇の友達は理解し合えるので本音トークが展開されます。

先生「あの問題ムズかったよね!」

ここで先生からも「あの問題ムズかったよね!」の一声をかけたらどうでしょう。

生徒からすれば「俺らの苦労を解ってくれる先生がいるんや・・・」って思いません?

 

「先生はどうせ頭がいいからでしょ?」「昔頑張っただけでしょ?」

全ての生徒ではないですが、どこか先生を特殊な人間扱いする生徒は少なくありません。

生徒を下に見ていると考えている生徒もいますからね。

 

生徒と同じ立場にたって、同じ勉強をしてから指導にあたると、言葉の端々に親近感がにじみ出るようになります。

「あーこの問題ねーむずかったよねー」

「解説書の説明もむずかったよね~」

「似たような人物名が連発してたよね(笑)」など

 

出来なかったことに負い目を感じる生徒には特に効果的ですね。

できないこともある、間違えることもある。大丈夫!
同じ問題を解いて、苦労を共感する方法は、生徒との距離を縮める手段としてはオススメ中のオススメです。
やりすぎは禁物です。勉強苦手なのか?と思われない程度にしましょうね(笑)

勉強癖は誰の為でもなく自分の為

塾講師は常に勉強が必要だというお話をしてきました。

たとえ勉強が得意でも、生徒の共感を勝ち取るために復習は必要です。

勉強が苦手であっても、復習を経て指導に当たる点では同じですから心配する必要はありません。

「苦手ポイント」が多いほど、生徒の共感を得やすいところもあります。勉強が苦手だった先生の方が生徒から慕われるケースもあります。

勉強癖が生む相乗効果

塾講師の勉強は学生時代の復習だけが目的ではありません。

社会に出ると、必須ともいえるスキル「インプット&アウトプット」。

  • 教材を読み理解する(インプット)
  • 声に出して指導する(アウトプット)
塾講師の仕事はこれの繰り返しです。

しかも相手は子供なので、言い換えたり、わかりやすい言葉を探したりと、発信力のトレーニングにもつながります。

誰かに物を教える仕事は成長速度が速い

アルバイトは社会を学ぶという意味で、いろいろ経験した方がいいです。

ただ単に金稼ぎと割り切ってしまうと、アンテナが弱くなるので学ぶ姿勢は常に持っておきましょう。

塾講師に関していえば、やはり「発信力・指導力」が鍛えられますね。

対外的な営業もですが、自分の会社内でも必要なスキルです。

下の記事で詳しく書いていますので、興味がありましたら引き続きお読みください。

塾のバイトで身につくスキルは、将来必ず社会で役立ちます

 

少子化少子化と言われる中、実は塾業界はいまも激戦区です。

塾にはそれぞれ強みや特徴を出せば売り込みやすいからです。

進学に特化したり、勉強のやり方に特化したり、あるいは英語に特化したりです。

駅の近くや学校の近くには、今でもなお多くの塾が立ち並んでいるはずです。

広告に目を向けてみると強みを発見できますよ。

塾を探すならそういったところも参考にしてみるといいと思います。