九九の暗記は、誰もが苦い記憶として残っているのではないでしょうか。
大人になった今では覚えてしまっているけれど、覚え始めは本当に苦労した人も多いと思います。
僕は3年ほど小中学生向けの個別指導塾で教室長をやっていましたが、教室に通う4年生5年生でも九九が曖昧な生徒が結構いました。
今回は九九を覚えられていない生徒向け練習法を紹介したいと思います。
九九は画と音で覚えると効率が良くなる
「いんいちがいち、いんにがに、・・・」
九九を何度も暗唱した方も多いと思います。
僕も小さいころ、晩御飯を作っている母に向かって何度も暗唱して覚えました。
また覚えきるまでは九九が全て書かれた、ビンゴ表のような物を手に暗唱していました。
詰まったらすぐカンニングできるようにです(笑)

九九って答えとなる数字が、かなり重複していますよね。
答えに出てくる数字自体は36種類です。変な話36種類数字を覚えれば、九九は覚えたと言えます。
5×5=10 を何度も見て書いてと繰り返すよりも、5の段の答えの数字を覚えてしまうと覚える速度が格段にあがります。
「5 10 15 20 ・・・」って感じですね。
ひらがなや漢字、アルファベットは読みと書きを一緒に覚えますが、九九も似たような覚え方をするといいです。
あ行→あかさたなはまやらわ
アルファベット→abcdefg・・・
3の段→3 6 9 12 15 18 21 24 27
覚えるのが苦手という子供には、まず答えの数字が「聞き覚え・見覚えがある状態」にしてあげましょう。
暗記にかかる時間は個人差がある
暗記力と直結する能力は、僕は想像力だと考えています。
「物忘れ」という言葉がありますが、覚え方が弱いせいで記憶できていないことが原因です。
「覚えた!何も見ないで言える!」という状態は、脳の中でイメージ化できている状態です。
例えば7の段
「シチイチがシチ、シチニジュウシ、シチサンニジュウイチ ・・・」
答えとなる「7 14 21 28」がスライドショーのように頭の中でパッパッと切り替わるイメージが脳の中で再生されているか。
そしてそれを口に出して言えるかどうか。
スラスラと口に出して言えるようになれば、音と画がかみ合っている状態になっているので、忘れにくい暗記ができたと思っていいでしょう。
口に出して言うことは練習で出来るようになります。
頭の中で九九のイメージを整理できるかどうか、ここに個人差が大きく出てきて、早く覚えられるか時間がかかるかの分かれ道となります。
覚えるのが苦手な子の練習法
目で見た情報と耳で聞いた情報、それらを結び付けて頭の中で整理する、そして九九の暗唱という形で表現する。
一見簡単そうに見える作業ですが、小学校低学年の子供にとっては初めて暗記作業です。
思うように覚えられず、親から叱られ友達から笑われてしまう場合もあります。
「暗記」という未知の領域に踏み入れる前に、「短期記憶」を使う訓練をしてあげるといいです。
短期記憶とは瞬間的に覚えていて、すぐに忘れてしまう記憶のことです。
5匹動物の名前を言ってあげて、同じ動物を同じ順番に言わせる。
可能であれば、その動物の絵か写真を用意してあげる。
その場その場でインプット&アウトプットをする訓練ですが、実は結構大切です。
九九をいつの間にか覚えていて、忘れない理由とは
覚えるのに苦労した九九も、いつのまにか苦労なく暗唱できるレベルまで記憶できていますよね。
これは短期記憶を繰り返し使うことで、だんだんと長期間わすれない記憶(長期記憶)に記録されるようになるためです。
とりわけ九九は普段の生活の中で頻繁に登場します。間違えると自分が損をしてしまう場面も多々あるため、嫌でも正しく使うことを繰り返すからです。
生活の中で登場機会が比較的少ない「7の段」なんかは、実際に唱えてみると詰まったりします。
時間をかければ必ず覚えられる、焦りは禁物!
暗記力、運動能力、体形あたりは成長の個人差が非常に大きいと思います。
そして無邪気な小学生は他人よりも優れている点を盛大にアピールし、他人よりも劣っている点を痛烈にイジります。
結果イジられた本人は、周りよりも劣っていることを嫌がり、ものすごい焦るのです。
端から見ると「イジるやつ最低だな」と冷静に思えるかもしれません。
しかしいざ自分の子供が「やーいやーい」と虐められているところを目撃したら。
いてもたってもいられず、何とかしてやりたいと対策を練るはずです。
九九が覚えられなければ徹夜で覚えるまで付き合い、
身長が低ければ毎日牛乳を飲ませ、
足が遅ければ筋トレをさせる
やりすぎだよ(笑)と思ってしまうかもしれませんが、実際にあった事例です。
周りにイジられてへこんでいるのに、家では何とかしてやりたいと意気込む親の煽り。
こうなってはもう誰も本人を支えてあげる人がいなくなってしまいます。
周りよりも遅れてしまうことは誰にでもあり得ます。
「あぁこの子はここで来たんだな」とじっくり支えてあげましょう。
ここで無理に追いつかせようとして、「何もしたくない」とキレてしまうのが一番危険です。
親が結果を求めるあまり、「ごまかし方」を覚えるのもこの時期です。
何度も言います。じっくり腰を据えて付き合ってあげましょう。